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2016年2月17日 (水)

内圧コントロールバルブ

お客様からのお問い合わせで、
内圧コントロールバルブの話が出ましたので、
ここに理屈を書いてみます。

 
最近、流行ってるみたいですが、
ちゃんと意味を理解してるメーカーもバイク屋も無い気がします。


作って販売してるメーカーなのに、
効果の説明が不十分だったり、
酷いところは理屈が噛み合ってない商品説明だったりします。
一般的に謳われている効能として、
エンジンブレーキの低下?減少?というものが多いです。

これについては、
あながち、嘘ではありません。
そもそも、エンジンブレーキの正体は、
ポンピングロスがほとんどの原因です。


では、ポンピングロスとは何でしょう?

最大の要因は、
吸入工程にあります。


エンジンブレーキとは、
アクセルを閉じたときに発生します。

なぜかというと、アクセル(スロットルバルブ)が閉じたとき、
スロットルバルブからピストントップまでの空間に、
とても強烈な負圧が発生するからです。

注射器の先端(スロットルバルブ)が閉じた状態をイメージしてください。
その状態から注射器(ピストン)を引っ張ってみましょう。
吸い込めましたか?

ものすごい抵抗がイメージできたなら、
それが正圧と負圧の関係性で、
ポンピングロスと呼ばれるものの正体です。


エンジンブレーキには、
他の様々な要因も関わってきますが、
一番大きな要因はこの吸入工程でのポンピングロスです。

では、ピストンが下がりにくい要因の、
スロットルバルブからピストントップまでの負圧。

これには容易に手出しが出来ないので、
負圧に対するピストンの裏側の圧(クランクケース内圧)を下げれば、
相対的に、ピストントップ上側の負圧を弱めた事になります。


少し正確に言うなら、負圧だから重いのではなく、
ピストンの表と裏の気圧に大きな差があるので、抵抗が発生するのです。
ここで、少し詳しい方なら感じる部分ですが、
ケースが負圧になったら、
下がるときは良いけど、上がるときは抵抗になるのでは?
という部分だと思います。

ピストントップから上の部分には、
強烈な負圧が起こっているため、
ピストンの位置が下死点を過ぎた後には、
その負圧が急に味方に変わります。


強い負圧は収縮(ケース内圧に押されて元に戻る)しようとするので、
この時の圧縮工程は、吸入工程のロスに比較すると、とても小さな物なのです。

しかも、スロットルバルブは閉じている状態なため、
まともに充填効率も上がってませんし、
実効圧縮圧力も低いものになります。

バイクの整備などで、エンジンの圧縮を測定する際、
アクセル全開という指定があることが多いですが、
アクセルを閉じてると気体が充填されないため、
まともな数値が上がってこないためです。

エンジンブレーキは、
ケース内圧でも、圧縮圧力でもなく、
吸入工程で発生するポンピングロスが正体です。

だいぶ前から四輪メーカーでは、
ここらをどうにか制御しようと、
あの手この手で市販車にも技術の投入が行われており、
それを真似て製品化したのが、
現在の二輪用の内圧コントロールバルブな気がします。


では、二輪車の純正はどうなっているのかというと、
ブリーザーパイプの多くはエアクリーナーBOXに帰っています。


これは、アクセル開度の大きいとき、
エアクリーナーBOX内が負圧になるため、
ピストンリングから吹き抜ける圧縮工程の未燃焼ガスや、
燃焼行程で吹きぬけるガスも、
BOX内の負圧を利用して吸出し、再びエンジンに返しています。

この時の作用でケース内圧も下がりますが、
問題は、アクセルを閉じた時に、
エアクリーナーBOX内の負圧は弱くなり、場合によっては正圧になります。


スロットルバルブからピストンまでは強い負圧が起こり、
スロットルバルブの裏側のBOX内は大気圧に近くなります。
この時、ブリーザーホースに吸出し効果は強く働きません。


このスロットルバルブを閉じた時に、
内圧コントロールバルブが、
「ケース内の容積の変化率の大きい物」に効果を発揮します。

具体的に言うと、
シングルやツインの360度クランクなど、
容積変化の多いエンジンです。
私の愛すべき実験車のTRXも270度なので、
そこそこ効果は見込めると思います。

四気筒や180度クランクのツインなどでは、
無理やり押し出すため正圧(ケース内の容積変化)が発生しません。


この容積変化の、
ピストンが下がる時の、ケース内が圧縮された時だけ外に排出して、
ピストンが上がる時に、外からの吸入は止める。


結果、ケース内の圧力が下がる方向にのみ作用するワンウェイバルブ。


ピストンの表と裏の気圧差を出来る限り少なくして、
ポンピングロスの低減を図るアイテム。

ここらへんがこの商品の真相です。

その昔、
私がまだサーキットなどに出向いてた頃に、
同様のエンブレ問題はありましたが、
解決策は単純明快で、アイドリングを上げていました。


これも正確に言うと、
アイドリングを上げる事が目的ではなく、
アクセル全閉のときの空気流入通路を確保する意味で、
アイドルスクリューで無理やりスロットルバルブを開き、
それによってポンピングロスが減るからエンブレが弱まるのです。


ついでに言うと、
2stのエンブレが弱いのは、
同様の行程で負圧が発生しつつピストンが下がっていくとき、
シリンダー壁に設けられた排気ポートが繋がり負圧が弱まるからで、
それを利用して充填効率を高めるのがチャンバー効果です。

長くなりましたが、
私の結論を言いますと、
同じ金額でタイヤでも替えたほうが良いんじゃないのかな(笑)


そういえば、アクスルシャフトもなんか流行ってますね・・・(笑)

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